「今の保守会社を変えたい」「別の業者に移りたいが、引き継ぎが不安」という相談をいただくことがあります。保守会社の変更は、ソースコードやアクセス権限の移管など、確認すべき事項が多いです。この記事では、保守会社を変える際に確認しておきたい項目を整理します。
保守会社を変える前に整理すること
ソースコードの権利と入手可能性
まず、ソースコードを次の業者に渡せる状態にあるかを確認します。
- ソースコードが手元にあるか
- 外注で作ったシステムの場合、契約上ソースコードの権利が自社にあるか
- 現在の業者がリポジトリを管理している場合、移管できるか
ソースコードがない、または取得できない場合は、新しい保守会社が引き継げる範囲が大きく限られます。
アクセス権限の確認
保守に必要なアクセス情報を洗い出します。
| 種別 | 確認内容 |
|---|---|
| サーバー(SSH) | 接続情報・接続ユーザー・鍵の管理状況 |
| クラウド管理コンソール | 現在の契約者・アカウント情報 |
| ドメイン | 登録者・レジストラ・更新期限 |
| データベース | 接続情報・バックアップの場所と頻度 |
| リポジトリ(GitHub等) | 管理権限の所在 |
これらが現在の業者個人のアカウントに紐付いている場合、組織管理のアカウントへ移管が必要です。
現在の業者から受け取るべき情報
保守会社を変更する際、現在の業者から受け取っておくべき情報があります。
システムに関する情報
- ソースコード(最新版・本番環境と同期していること)
- サーバー・インフラの構成情報
- データベースのスキーマとバックアップ
- 定期バッチ処理の一覧と実行タイミング
- 過去に対応した不具合・修正の記録
運用に関する情報
- 定期作業の手順
- 障害時の対応手順
- 外部連携しているサービス・APIの一覧と接続情報
これらは、現在の業者との関係が良好な段階でまとめてもらうのが最も確実です。退職・廃業後では取得が難しくなります。
「連絡が取れなくなった」場合との違い
開発・保守をしていた業者と連絡が取れなくなった場合は、通常の保守移管とは状況が異なります。
通常の保守移管では、現行業者の協力のもとで引き継ぎを行います。連絡が取れなくなった場合は、ソースコードや権利関係の整理から始める必要があります。後者の場合については開発した業者と連絡が取れなくなったら最初に確認することをご参照ください。
新しい業者への引き継ぎをスムーズにするために
新しい保守会社への引き継ぎをスムーズにするために、準備できることがあります。
引き継ぎ前に整理しておくと良いこと
- 現在の不具合・問題箇所の一覧
- よく発生するトラブルとその対処方法
- 「ここは触ると影響が大きい」という箇所のメモ
これらをまとめておくと、新しい業者が現状を把握する時間が短くなります。
仕様書がない場合
仕様書がない状態でも、引き継ぎは可能です。ただし、引き継ぎ先の業者が現行を調査する時間・費用が発生します。仕様書代わりになる情報(画面のスクリーンショット・操作マニュアル・過去のやりとりのメモなど)があると、調査の参考になります。
仕様書がない状態での調査アプローチについては仕様書がない古いシステムを保守するには?最初に行うべき現行調査も参考にしてください。
保守会社変更時の注意点
移行期間を設ける
現在の業者との契約を終了する前に、新しい業者への引き継ぎ期間を確保することをお勧めします。引き継ぎが完了してから契約終了とすることで、空白期間のリスクを防げます。
古いシステムは「調査から始める」業者を探す
古いシステムの保守を引き継ぐ場合、「見積もりを出す前にまず調査させてください」という進め方は自然です。現行を見ずに固定額を提示された場合は、どこまでが見積もり範囲に含まれるのかを確認しておくと安心です。
保守会社の選定段階から相談に乗ることも可能です。仕様書がない状態での引き継ぎ支援についてはレガシーシステム保守のページ、またはお気軽にお問い合わせください。
レガシーシステム保守の外注先選びについての全体的な考え方はレガシーシステム保守を外注するときの注意点で、保守そのものの進め方や依頼前に確認しておくことはレガシーシステム保守とは?古いシステムを安全に使い続けるための考え方でまとめています。